文武両道

 先日、全日本剣道道場連盟が主催する第45回日本剣道少年団研修会体験・実践発表会山梨県予選の結果が発表され、小学生の部では矢ヶ﨑柑愛さんが佳作に、中学生の部では田中ちかさんが優良賞に選ばれました。
 これは剣道を通じて学んだことを作文にするもので、第42回では当時小学6年生だった野村将聖さんが全国優勝を果たしたことのある発表会です。

 「文武両道」といいますが、剣道に限らず、スポーツ全般において、考える力が秀でている子はその分野でも実力のある子が多い気がします。自分自身の課題を分析し、どうしたら改善若しくは向上できるか、その方法を考えられる力を持っているということではないでしょうか。先生や指導者が教えてくれることをスッと理解する力も必要です。それに加えて集中力があること。これって勉強にも剣道にも共通する大切なことだと思うのです。文武両道にも近道はありません。日々「努力と研究」です。岡先生がみんなに教えたいことはそういうことなのかもしれません。

 何はともあれ田中ちかさん、矢ヶ﨑柑愛さん、受賞おめでとうございました!


【お披露目会】

新型コロナウィルスの蔓延により当剣友会主催の関東少年剣道大会はここ三年、中止を余儀なくされています。本来であれば新入会員さんはこの大会の中で、多くの観客や先生方が注目する本部席の真正面で基本演武を披露していました。新人さんらしい、そのなんともかわいらしく、微笑ましい姿に会場中から大きな拍手が送られるというとても素晴らしい舞台でした。
 
大会中止に伴いその機会を失う中、昨年度の副会長さんの一人が、なんとか新入会員さん達にお披露目の機会を作ってあげられないものかと起案して下さり、その思いを受け止めた今年度の会長さんが開催に漕ぎつけてくれたというわけです。
 
12月10日(土)、山城小の体育館に岡先生ご夫妻を始め多くの父兄をお招きし、ここ三年間に入会した20名を超える子供達が基本演武や立ち合いを披露しました。ご褒美にお菓子や文房具をもらい、みんなで稽古をした後、クリスマスも近いということでプレゼント交換もして楽しい時間を過ごし、成功裏に会を終了できたのでした。
 
そんな光景を見ていたら我が子がまだ小さかった時のことを思い出しました。特に大したことではないのに「ねぇ見て見て!!すごいでしょ?!」と言いながら私の注目を引き「見てるよ~、すごいね!」と言ってやると、嬉しそうに繰り返しやってみせてくれた時のことを…。
子育てをしていると、同じような経験をしたお父さんお母さんも少なくはないかもしれません。

人は自分が頑張ったことや努力したことを周りに認めてほしいと思うものです。もちろん成長に伴って幼かった時のように「見て見てすごいでしょ?!」とは言わなくなりますが、本質はずっと変わらないと私は思っています。
 
この日のお披露目会も子供たちが自分の成果を一番見てほしかったのは当然お父さん、お母さんです。なので毎日でなくていいです、こんな特別な時だけでいいです。「上手になったね。」「頑張ってるね。」と言葉をかけてあげてください。自分の頑張りを認めてくれる人がいる、そんな自覚のある子は安心感の土台ができ、自分のしていることに自信が持てるようになるので精神面が強化されていきます。そうすると例えば辛い場面に遭遇しても簡単に投げ出したり挫けたりしなくなるような気がしています。
 
ですからお父さんお母さん方には時間がある時だけでいいので子供達の稽古を見に来ていただけると嬉しいです。そうすると、子供たちもいいところを見せたくてより一層稽古に熱が入り、自然と力がついていくという効果が生まれてくるのかもしれません。

つまり心身の育成は指導者と子供の頑張りだけでは決して成し遂げられないのです。お父さんお母さんの協力があってこそです。我が子だけではなく、みんなの頑張りを認めて応援し、一緒になって剣友会を盛り上げていくことが何より子供たちの大きな力になるんじゃないかなぁ、と思いっきり書き手の主観ですがそんなふうに考えています。

基本演舞を披露した子供達を見て岡先生の目にはうっすら光るものが見えたとか。きっとこの子達の成長を我が子のことのように喜んでくださったのだと思います。
体育館の床は氷のように冷たかったけど、心はほっこり温かくなるような日でした。